「最近どう?」と聞かれたとき、正直に答えられないことがあります。
「忙しいけど、まあ大丈夫です」——そう返しながら、頭の中ではまったく別のことが回り続けている。スタッフのシフト、今月の数字、あのトラブルの対応、来月の仕入れ、採用の話、銀行との件……。
まるで回転扉のように、次から次へと課題が頭の中を通り過ぎていく。止めようとしても止まらない。ひとつ片付けたと思ったら、また別の扉が回ってくる。
経営者の孤独って、こういうことだと思っています。
「大変だね」では終わらない重さ
経営をしていると、判断の連続です。
しかもその判断の多くは、「正解がない」ものばかり。このスタッフに任せるべきか、自分でやるべきか。この投資は今やるべきか、待つべきか。この問題は厳しく対処すべきか、様子を見るべきか。
会社員であれば、上司に相談できる。チームで議論できる。でも経営者は、最終的に自分が決めなきゃいけない。誰かに「それで行きましょう」と言ってもらえる場所がない。
私は複数の店舗を抱えているので、同時に走っている課題の数がそれだけ多い。ひとつの店舗の問題が片付く前に、別の店舗から連絡が入る。頭の処理が追いつかないまま、また次の判断を求められる。
これが毎日続く。
「大変だね」と言われることもあるけれど、その言葉が届く前に、もう次のことを考えている自分がいます。
孤独は「人がいない」ことじゃない
誤解されやすいのですが、経営者の孤独は「周りに人がいない」孤独じゃありません。
スタッフはいる。家族もいる。仲間もいる。でもそれでも孤独を感じる瞬間がある。
それは、自分が抱えているものの重さを、同じ重さで共有できる人がいないという孤独です。
スタッフに全部話すわけにはいかない。家族に心配をかけたくない。仲間に愚痴を言い続けるのも違う。だから結局、一番しんどいところは自分の中で処理するしかない。
頭の中の回転扉は、誰にも見えていない。見えていないから、「元気そうだね」と言われる。元気そうに見せているわけじゃなくて、見せ方しか知らないだけなんですよね。
頭が飽和したときに起きること
頭の処理量が限界を超えると、判断の質が落ちます。
些細なことでイライラしやすくなる。大事な決断を後回しにし続ける。逆に、よく考えずに結論を出してしまう。スタッフへの言葉がきつくなる。夜になっても仕事のことが頭から離れない。
これ、サボっているわけでも、能力が低いわけでもない。単純に、脳のキャパシティを超えた状態です。
私も、こういう時期がありました。頭の中が常に何かで埋まっていて、ぼーっとする時間がない。休んでいるつもりなのに、脳だけは休めていない。体は元気なのに、どこか消耗している感覚。
あのとき気づいたのは、「頭を整理しないと、判断が鈍る」という当たり前の事実でした。
私がやっている「頭の中を空にする習慣」
完璧な解決策じゃないけれど、続けていることをいくつかお伝えします。
① 頭の中にあるものを全部書き出す
モヤモヤしているとき、紙でもスマホのメモでもいいので、今頭にあることを全部吐き出す。書くことで「頭の外に出す」感覚が生まれて、少し軽くなります。整理しようとしなくていい。ただ出すだけでいい。
② 「今日決めること」と「今日じゃなくていいこと」を分ける
全部を同じ優先度で抱えるから、頭が飽和する。今日の自分が判断すべきことだけに集中して、それ以外は意識的に「後でいい」と決める。これだけで、頭の負荷がかなり変わります。
③ 一人の時間を意図的に作る
誰とも話さない、何も決めない時間を、短くてもいいので確保する。私にとってそれは、早朝の静かな時間だったり、移動中だったりします。インプットを断って、頭を遊ばせる時間が、意外と次の判断の精度を上げてくれる。
④ 「全部自分でやらなくていい」と決める
これが一番難しくて、一番大事だと思っています。判断を人に委ねること、任せること。それができるようになると、頭の回転扉の数が少しずつ減っていきます。
孤独は消えないけれど、付き合い方は変えられる
正直に言うと、経営者の孤独は完全にはなくならないと思っています。
判断の重さは、経営をしている限りついてくる。それは避けられない。
でも、その重さとどう付き合うかは、選べます。
全部を一人で抱え込まない。頭の中を整理する習慣を持つ。信頼できる人に、少しだけ話す。自分の限界を知って、無理をしすぎない。
経営者だって、消耗する。判断に迷う。しんどくなる。それは弱さじゃなくて、それだけのものを背負っているということです。
頭の中の回転扉が止まらない夜は、まず一枚だけ、外に出してみてください。
このブログ「yuu.|日常思考録」では、経営・人材育成・投資・日常思考など、私の実体験をもとにした記事を発信しています。


コメント