「なんでうちのスタッフは育たないんだろう」
こう悩むオーナーや管理職の人は多い。教育の方法を変えてみる、マニュアルを整える、研修を増やす——いろいろ手を打っても、なぜかスタッフが育っていかない。
私も同じ悩みを抱えていた時期がありました。
でも、あるときふと気づいたんです。問題はスタッフじゃなくて、店長自身の「仕事への向き合い方」にあったんじゃないか、と。
店長の空気は、そのままチームに伝わる
人は、言葉より行動から学びます。
「頑張れ」と言う上司が自分は手を抜いていたら、スタッフは頑張らない。「この仕事は大切だ」と言う店長が、仕事を雑に扱っていたら、スタッフも雑になる。
これは意地悪な話じゃなくて、人間として自然なことです。私たちは、一緒にいる人の姿勢や温度感を、無意識に吸収して真似ていく生き物だから。
店長の「仕事に対する誇り」は、言葉にしなくても滲み出ます。そしてその空気が、チーム全体の文化をじわじわと作っていく。
私が気づいた「根っこの問題」
以前、スタッフの育ちが悪い店がありました。
離職率も高く、接客のクオリティも上がらない。何度指導しても、なぜか定着しない。最初は「採用の問題かな」「教え方の問題かな」と考えていました。
でも、しばらく観察していてわかったことがあります。
その店の店長自身が、仕事に誇りを持てていなかった。
「どうせコンビニの仕事だから」「自分なんて店長に向いていない」——口には出さないけど、そういう空気が言動の端々に出ていた。指示に自信がない。判断が曖昧。スタッフへの言葉に熱がない。
そうなると、スタッフはどうなるか。
「この仕事、そんなに大事じゃないんだ」「店長でさえそう思ってるなら、自分たちが頑張る必要ないよな」——そういう空気がチームに広がっていく。誰も悪くない。でも、誰も本気にならない職場ができあがっていた。
自己肯定感の低い店長が生み出すもの
自己肯定感が低い店長には、共通したパターンがあります。
指示に自信がない。 「これ、やっておいてください……たぶん」という言い方になる。曖昧な指示は、スタッフに「これって本当にやらないといけないの?」という迷いを生む。
ミスを必要以上に引きずる。 自分を責めすぎるから、スタッフのミスにも過剰に反応したり、逆に指摘できなくなったりする。どちらに転んでも、チームの成長を妨げる。
「どうせ」が口癖になる。 「どうせうちの店は」「どうせ自分には」という言葉が増えると、チャレンジの空気が消える。スタッフも「どうせやっても変わらない」と思い始める。
褒め方がわからなくなる。 自分を認められない人は、他者を認めることも難しい。スタッフが頑張っていても、素直に「よかった」と言えない。承認されないスタッフは、やがてモチベーションを失っていく。
誇りを持っている店長の職場は、空気が違う
反対に、仕事に誇りを持っている店長がいる職場は、空気が全然違います。
指示がはっきりしている。なぜやるのかを自分の言葉で説明できる。スタッフの頑張りに気づいて、ちゃんと伝える。問題が起きても、「どうする?」と前を向いて考える。
その姿を見ているスタッフは、「この人と一緒に働きたい」と思うようになる。仕事を「こなすもの」じゃなく「意味のあるもの」として捉えるようになる。
育つ職場と育たない職場の差は、教育システムより先に、リーダーが自分の仕事を誇れているかどうかにある、と今は確信しています。
誇りは、どこから生まれるか
では、仕事への誇りはどうすれば持てるのか。
「誇りを持て」と言われても、急には持てない。それはそうです。
私が思うのは、誇りは「仕事の大きさ」じゃなくて、「自分がやっていることの意味」から生まれるということです。
どんな仕事でも、誰かの役に立っている瞬間がある。お客さんが「ありがとう」と言う瞬間。スタッフが成長する瞬間。昨日よりちょっとだけうまくいった瞬間。
そういう小さな「意味」に気づけるかどうか。気づいて、ちゃんと受け取れるかどうか。
自己肯定感が低いと、この「受け取り」がうまくできない。だから、まず自分自身の小さな成功や貢献を、意識的に認める練習から始める必要があります。
自分を認められるようになると、仕事への向き合い方が変わる。向き合い方が変わると、チームへの影響が変わる。
まとめ
スタッフが育たない原因を探るとき、教育方法や仕組みより先に見るべきことがあります。
リーダー自身が、自分の仕事に誇りを持てているか。
誇りは伝染します。熱量は伝わります。そして残念ながら、無気力も、自己否定も、同じように伝わっていく。
チームを変えたいなら、まず自分が変わる。自分の仕事を、自分が一番大切にする。それが、育つ職場をつくる一番の土台です。
店長として、リーダーとして、今一度自分に問いかけてみてください。
「私は、自分の仕事を誇れているか?」
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